相続不動産の売却
不動産の名義が亡くなった人のままだと、現在の所有者が確定できません。そのため、不動産の名義変更を完了させないうちは、相続した不動産を処分(売却)できません。
原則として、遺産分割がまとまる前の相続財産は相続人の共有物となります。ですから特定の相続人が「自分が相続した」と主張して不動産を売却しようとしても、他の相続人全員の同意がなければ(遺産分割協議書等が必要)本当の所有者(売主)の意思であるとは言えません。不動産を売却する前に、まずは名義を変更して、その不動産の現在の所有者(売主)を確定する必要があります。
相続登記を行う前に以下の手順を経る必要があります。
●被相続人の生まれてから死亡するまでの戸籍謄本等を調べ、その不動産を相続する権利を持つと考えられる法定相続人全員を明確にする。
●被相続人の遺言による指定がない場合には、その不動産を相続する人と持分を決定。
※この場合、法定相続分で共有として登記する以外の方法を選択するには、相続人全員による遺産分割協議書の作成が必要となります。
この後、ようやく相続登記の手続きを行うことになります。相続した不動産の売却を考えている場合は、できるだけ早いうちから準備を進めることをおすすめいたします。
なお、遺言がある場合は、上記手続きが不要になることがあります。
遺言の有効性や、遺留分等について確認すべき点があるので、遺言が見つかったら、専門家にご相談されることをおすすめします。
相続した不動産を売却する際に譲渡益が出ると、所得税・住民税が課税されます。しかし、取得した相続人の条件によっては、居住用の特別控除や軽減税率の特例等が適用できることもあります。
また一方で、不動産を売却して得た金銭を他の相続人に分ける場合は、贈与税の対象となることもあります。
このようなことから、遺産分割については総合的な判断が必要になりますが、これは一般的に大変難しいことですので、専門家にご相談いただくことをおすすめいたします。
当事務所では、スムーズな遺産分割ができるよう、できるかぎりのお手伝をいたします。お気軽にお問い合わせください。