未成年者が相続人になった場合の手続きと注意点
相続手続きにおいて、未成年者は判断能力が十分ではないとみなされて、特定の手続きが行うことができない場合があります。
この記事では、未成年者が相続人になった際に必要となる手続きや注意点について解説します。
目次
相続人が未成年の場合の相続手続き
未成年者が相続人となる場合、判断能力が十分ではないとみなされるため、未成年者は相続財産を誰にどう分けるかを話し合いで決める遺産分割協議ができません。
この場合、相続手続きの進め方は下記2つの方法があります。
① 未成年者が成年に達するまで待ってから遺産分割協議をする
② 未成年者の代理人が遺産分割協議をする
それぞれの進め方について、詳しくは以下の通りです。
① 未成年者が成年に達するまで待ってから遺産分割協議をする
これは、相続人として十分な判断能力があるとみなされ、相続手続きができる年齢になるまで相続手続きを保留する方法です。
この方法では、相続人本人の意思が尊重されるメリットがあります。
しかし、成年までに間が空く場合や期限のある相続手続きがある場合は注意が必要です。
相続手続きには期限のある手続きもあり、最も期限の早い相続放棄(相続をしないと宣言する手続き)は相続が発生してから3か月以内に実施しなければなりません。
このほかにも、亡くなった方の不動産の名義を変更する相続登記は、2024年に義務化がされ、3年以内に行わなければ10万円以下の過料が発生する可能性もあります。
したがって、これらの期限までに未成年の相続人が成年になるかどうかを検討したうえで、遺産分割協議を保留するかを決めることが必要です、
② 未成年者の代理人が遺産分割協議をする
未成年者が相続人となった場合、遺産分割などを自ら行うことができませんが、特別代理人を選任することで手続きを行うことができます。
特別代理人とは、未成年者や高齢者など、判断能力が十分ではないとみなされた人に代わって法律的な行為を行うために選ばれる人物です。
特別代理人は相続手続きにおいて未成年者との利害関係がなければ誰でもなることができますが、特別代理人の選任は家庭裁判所へ申し立てる必要があります。
そこで申し立てが受理されてはじめて、未成年者の相続人の代理人が遺産分割協議などの相続手続きをうことができます。
特別代理人と利益相反行為とは
一方に利益があるともう一方に不利益がある行為を利益相反行為といいます。
特別代理人制度とは、未成年など十分な判断能力のない方の利益を守るための制度であるため、相続人である未成年者に不利益をもたらす可能性のある人物を選定することはできません。
また、特別代理人の申立てを行い、結果が通知された後はその結果に不服の申し立てを行うことができません。
したがって、候補人を検討する際には、未成年者の利益が担保されているかをよく考えて選任することが大切です。
特別代理人の選任の手続き
未成年者の相続人が相続手続きを行うために必要な特別代理人の選任は、家庭裁判所ての申立てを行う必要があります。
ここでは、申し立てに必要な書類と手続きについて解説します。
特別代理人を選ぶための必要書類
特別代理人の選任には以下の手続きと書類が必要です。
・未成年者の戸籍謄本
・親権者又は未成年後見人の戸籍謄本
・特別代理人候補者の住民票又は戸籍謄本
・利益相反に関する資料(遺産分割協議書案などの被相続人の遺産状況が分かる書類)
・戸籍謄本などの利害関係を証する資料(利害関係人からの申立ての場合)
特別代理人を選ぶための手続き
必要書類がそろい次第、未成年者の住所地の家庭裁判所へ書類を提出して特別代理人の申立てを行います。
候補者の状況などによって手続きの流れは異なりますが、申立て後は家庭裁判所での審理が行われ、書面の参照や聞き取り、審問が行われます。
その後、裁判官によって候補者が選任されるかどうかの判断が下され、結果は書面にて通知されます。
このとき、結果の書面が特別代理人の資格を証明する書類となるため取り扱いには注意しましょう。
相続税における未成年者控除
未成年者が相続人となった場合、相続税の負担を軽減するために「未成年者控除」が適用されます。
この控除は、未成年者の生活や教育に配慮した特別な制度ですが、控除できる範囲などには限りがあります。
この章では未成年者の税額控除について紹介します。
未成年者控除の対象条件と控除額
未成年者控除は、相続が発生した時点で18歳未満の相続人が対象となります。
控除額は、相続開始時の未成年者の年齢から18歳に達するまでの年数に応じて計算され、1年ごとに10万円の控除が適用されます。
例えば、15歳の未成年者が相続人である場合、18歳までの3年間が対象となり、合計で30万円の控除が適用されます。
このとき、相続開始時の年齢の計算で、1年未満の期間があるときは切り捨ててて計算します。
相続税の申告
未成年者控除の申告は、通常の相続税の申告と同様の手続きを行うことが必要です。
相続税の申告手続きは相続が開始してから10か月以内に行う必要があります。
申告期限を過ぎると、延滞税や加算税が発生するため、期限内に必要な手続きを完了することが重要です。
相続税の申告は自身で行うこともできますが、書類の作成などには正確さが求められるほか、必要書類も多岐にわたるため、難しい場合には専門家のサポートを受けることもおすすめです。
未成年者の相続の注意点
相続人が未成年者の場合、特別代理人を選任した後も手続きに注意すべき点があります。
期限のある相続手続き
相続手続きには期限のあるものがあり、中でも相続財産を一切引き継がない「相続放棄」の手続きは相続が発生してから3か月以内に行う必要があります。
未成年者が相続放棄を行う場合にも特別代理人の選任が必要となりますが、特別代理人が決まるまでに1か月程度の期間を要するため、相続放棄の手続き期限に間に合うよう早めに代理人の選任手続きを行うことが大切です。
未成年者の相続では通常の相続よりも手続きが複雑になる場合が多いため、「相続期限が迫っているが必要な書類を揃える時間がない」、「手続きの手順が分からない」など、手続きの中で困っていることがある場合には相続の専門家のサポートを受けることをおすすめします。
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