遺産分割調停について
被相続人の遺産を分割する際に、相続人だけでは話し合いに決着がつかない場合に有効な法律手続きが遺産分割調停です。この手続きを行う場合は、遺産分割調停事件として家庭裁判所に申し立てます。遺産分割調停は、複数いる相続人のうちの1人だけでも申し立てが可能です。
遺産分割協議で話がまとまらないと、すぐに「裁判をしよう!」と思われる方も多いとは思いますが、まずは家庭裁判所で調停を行います。(調停前置主義といいます。)
調停をした全てのケースが裁判をするわけではなく、調停から裁判へ発展するのは10件に1件で、ほとんど無いに等しいとされています。調停をしても話がまとまらず、法律的な判断が必要であった場合に調停から裁判へ移行します。
調停はどのような場合に利用するか?
遺産分割に関する話し合いがまとまらない、または法律的な判断が必要な場合に遺産分割調停をします。相続にも法律的な権利があります。主に「遺留分」「寄与分」「特別受益分」などがありますが、個人の判断で確定できるものではなく、法律的な判断を通じて確定される権利となります。
<調停を利用するケース>
- 遺言書に書かれていた遺産の分割方法では、法定相続分を侵されており、それについて相続人と直接話し合いが出来ない。→遺留分
- 被相続人が亡くなる5か月前に、2千万円の現金が相続人Aに贈与されていた。生前贈与されている財産を持ち戻して公平な遺産分割をしたい。→特別受益
このように、当事者同士の話し合いで解決ができない場合は、解決方法のひとつとして遺産分割調停があります。調停では相続人だけではなく、家庭裁判所の調停員などの第三者が間に入りますので冷静に話し合うこともできます。
必要書類
●遺産分割調停申立書
●遺産目録(土地・建物・預金・株式など)
●相続関係説明図
●その他添付書類
調停流れ
1.相続人・相続財産・遺言の調査
2.遺産確定 →遺産目録の作成
3.遺産分割の通知と協議の提案 →話し合いがまとまらない
4.遺産分割調停の申立て
※上記の1~4まで3か月ほどかかります。
5.調停が受理されると、1か月に1回のペースで調停が開かれます。
一般的に調停は最低でも通常4~5回は行います。結果がまとまるまでは、1年~1年半くらいの期間がかかると言われています。