相続税と贈与税
ここでは、相続税と贈与税の違いについてご説明いたします。
贈与税とは、個人から現金や不動産など、一定の価値あるものをもらった時に課される税金のことです。
それに対して、相続税とは、被相続人の死亡により、被相続人の親族等(相続人)が相続で取得する財産に対して課されます。
ー贈与税の対象となるものー
贈与税は、個人から年間110万円(基礎控除額)を超える財産をもらったときに課されます。
この財産には、現金、預貯金、 有価証券、土地、家屋、貸付金、営業権など、金銭に見積もることができるものはすべて含まれます。
贈与であるものの、非課税となるものも、一部ありますが、それは扶養義務者からもらう生活費や教育費、その他香典、お見舞いなど社会通念上相当と認められるものです。これらには、贈与税は課されません。
ー贈与税の課税基準ー
贈与税の課税基準は、納税義務者が一暦年間に贈与によって取得した財産の価額の合計で、この額は贈与税の課税価格と呼ばれています。
この課税価格から、110万円の基礎控除と、婚姻期間20年以上の夫婦間における居住用不動産の贈与があった場合には2000万円までの配偶者控除が認められています。
これらを控除した残額に10%から55%にわたる累進税率表が適用されて税額が算出されます。
税率は、贈与税には相続税の補完税の性格があるため、相続税よりも急激な累進構造になっています。
10%の最低税率は、相続税では1000万円までなのに対して、贈与税では200万円までであり、55%の最高税率は相続税では6億円超の額に適用されるのに対して、贈与税では3000万円超の額に適用される仕組みとなっています。
こうした税制を背景に、シンプルに考えると、”相続税よりも贈与税の方が重い”と言えると思います。
ーこんなやり繰り!ー
贈与税は、暦年課税で1年間の基礎控除額が110万円です。
そこで、年間で110万円以下の贈与については課税されず、申告も不要な訳ですから、この範囲の中でシンプルな生前対策(相続税対策)をやり繰りする方法があります。
この110万円の基礎控除を最大限利用する方法のほかには、配偶者控除を利用する方法があります。婚姻期間20年以上の配偶者からの贈与であることと、居住用不動産または、居住用の不動産を取得するための金銭の贈与であれば、2000万円までは、課税価格から控除できます。